そこに落ちる事が出来なかった君達。

一歩、二歩、三歩と徐々に血の気が引いていく。

それは誰にでも薄らチクリと頭を過った事があるだろう自分から失われた、または鈍った六感と元々備わりの無い脳へ出した色気に後後違う手段で触れる度に起きる貧血のような症状だ。

そうして背中を丸め、俯いて歩いているとコンビニの奥に黒く滲んだ影がある。

近付くと大きな穴のようだ。

こんなところに人間が入れるサイズの穴があっただろうか、目を凝らすと少しのタイムラグの後消える。

見間違いかと視線を外す一瞬前にまた現れる。

注視で失するならばと視線を外す擬態を取って現れず。

それからもう二度とあの穴に出会う事は無かった。