黒く滲む紅天を逆さに、零れ落ちた露をひらう

無意味が抜け落ちてエアーを纏う。

幸運を訝しがる人の群れに落ちる極小の針を飲み込みながら階段の縁に指を掛けてリズミカルに駆け上がる豚どもの耳に、吐瀉物の中で蛆虫が身を捩る音が鳴っている。

馬鹿馬鹿しいな。

気味の悪い色の靴を履いてカビたコンクリートみたいな体躯を精一杯縮こませる男も、作り物の薔薇で毎日身体を洗っているような鄙びた女も、どいつもこいつもセンスの悪い耳栓を突っ込んで四方八方に散る馬鹿の欠片を必死に集めてら、自分の踏んでいる地の形にすら気付かないだろう。

れんじゅうには毎日落胆させられて気が沈むけれど、それすら希望と思える程本当のところひとつかけらとて残されていないはずなのに毎夜毎夜満たされて恍惚と眠れる君達を僕は小便器の底から見上げているよ、一生。