12秒の秘密について君の知る事僕の知らない事
巨悪について考える。
キャタピラが踏み潰している世界の事だけを頭に浮かべると、壁一面の悪戯書きの中から溢れ出た卑猥な言葉による罵倒が自分のカケラを差し出して教えてくれた。
巨悪について考えるんだ。
花の無いサボテンが溶けている。
前脚を必死に動かして歩いているように見えたが、どうやらあれは再処理の準備らしい。
よくよく吐いてまじまじと便器の裏側を見てみれば、吐瀉物の温もりで暖をとる目玉が4つ。
巨悪について考えろ。
色のついた水に混ざり合いたいと思います。
二つは無いはずの笑い喘ぐ声が何やらどうやら一つになった記念です。
忘れてしまえないというのだけが、少し癪に触りますがきっと諦めもつくでしょう。
ひどく暑い夜には大変お世話になりました。
蠱惑について信じ得る。
例えば冷えたグラス。
くたびれた袖口。
突き落としたくなるような背中。
巨悪について考える。
ある日、僕は12秒の秘密を知った。
今から話すので、どうか眠っていて欲しい。
知性は我が子でありながら、我が子は理性とは言い難く、同情はするがどうぞ苛まれることなく眠って欲しい。
苦しく、また苦しみそれ自体にも明日という希望があるので。
巨悪とは何か。
電池の切れた目覚まし時計に舌打ちをして、唯一の我である時間は終わる。
笑顔の素敵な我々は支度を終え、玄関の外へ出ると突然穴に落ちた。
人間の根源的な恐怖とは、落ちる恐怖と大きな音による恐怖だけらしい。
然るべき驚嘆の後、我々は我に振りかえる。
誰にも聞かれてないところ、終わりの世界でも大きな声を出したらば恥じらうのが当然であるべきだろう道徳を私は美とするので我は我々と同じく美しく、またひとところに私と我を迎える準備も整っているということですし一旦聞く耳を置いてくれたまえ。
と、二本足で立ち上がったばかりに思ってしまったんだ。
巨悪について考えること。
タイムセールで売っている時間を買いに、ちょっとタルタルソースの味見をしてみる。
満足感と飢餓感とを見比べながらヘルスである状態の事を話すのは、性器を嗅ぎながら自転車を漕ぐのと同じくらい品のないスポーツであると思われる一方で神による罰こそが身体的苦痛から離れることの出来る唯一の方法だと嘯くことがそれに近いことだと言う集団の中にいた所為で私は飴を砕いて飲み込むように前言を信じるに至ったのです。
巨悪と思われる事について考える。
電気を使うのが当たり前になってから15年ほど経ったこんにち。
現代の技術では到底不可能と思えるような過去の技術たちが今は当然可能となっておりますか、やはり過去に不可能とされていた現代の技術が電気によって可能となったのは不可能を可能にするのが不可能だったからでしょう。
はっきり言えば、殺してでも奪いたいと思っていますよそれはね!
巨悪は悪と思われないかもしれない。
新聞紙に目を落とすと、18回目のベイビーラッシュにより20年後には軍需にて栄えるとある。
こう言ってはなんだが、安く粗悪な媚薬で増やした子供達に肝油ドロップを食わせたくないのだよ私は。
ラッコの絵でもくれてやればよい。
一体全体誰が5秒前に私を作ったんだ?
作りがお粗末でさっさと作り直して欲しいね。
巨悪、それ自体は嫌いではない。
今から全ての信号を1分間青にしたら何人死ぬだろうかと、上手くはない頭を地球儀の上にもたれさせて贅沢をしていた。
こうしていると天ぷらそばはそばだが、そばの天ぷらは天ぷらだと空に向かって描いていた頃をよく思い出すのだ。
巨悪と爆弾。
ほんの12秒あれば良かったのにと思った時には、最初からそんなものは無かったと知る。瞬間窓の外が明るく光る。
目覚まし時計は直っているはずだ。
朝がいつもよりも早くやってきた。